ダウトメンfeat.まおせり(from 仮面女子)が示した、素敵な人生の過ごし方とは?!
肉体は滅びようと、心だけは永遠に快楽の世界を生き長らえるのが理想的な生き方なのか。泥水をすすろうと、限られた時の中で生き方を模索するのが幸せなのか…。あなた自身の人生の中、その選択を間違うな。
ダウトメンfeat.まおせり(from 仮面女子)が示した、素敵な人生の過ごし方とは?!
K.INOJOと青木庸和による2人組テクノユニットの”ダウトメン (Doubtmen)”。過去に二度、アイドルグループ「仮面女子」の森下舞桜と涼邑芹による”まおせり”とライブで共演。12月15日(木)に目黒ライブステーションで行われた「Live Doubtmen vol.2」が、通算3回目の共演となる。この日は、オープニングアクトでダウトメンfeat.ミ子(violin)も登場。このライブで語られる物語と世界観を手がけたのが、前沢雅彦(U.F.O.PICTURES)。彼の描いたストーリーが、ダウトメンfeat.まおせり(from 仮面女子) の手によりどんな風に描きだされたのか、それは…。(以下の文章は、筆者の勝手な解釈になります。正しい物語はアーカイブ放送をご覧になってください)
自分が理想とする世界へと意識を連れだすメモリアムという仮装空間。ここは、その人の選択次第で、現実に戻れるのは、もちろん。仮装空間の中、永遠に夢想した世界で自分らしく生きることもできる。メモリアムという場の中には、争いごとも、未知なるウィルスの恐怖も、あらゆるネガティブな事象は存在しない。そう、ここは現実からパラダイムしたパラダイスだ。自分が望む永遠の幸せを享受する世界…そのパラダイスがパラダイムシフトした??
アリスの国からやってきた白い旗を手にしたサイバーラビット姿のまおせりが、『びゅんびゅん』を通し、メモリアムという脳内パラダイスを皮肉るようにアジテートしてゆく。それは、人としてのアイデンティティを消し去る現実逃避マシーンとしての驚異をメモリアムに感じているから?現実を遠ざけ、夢に逃げる人たちのことを人生の敗者として見ているから??それとも、単なるエリート意識への反発?? 2人はメモリアムが掲げる幸せを皮肉るように、心を抉る言葉の銃弾を、現実の世界で生きる人たちに向けてびゅんびゅんとマシンガンのように撃ち続ける。
口に頬張ったとたん、一瞬で甘く蕩けそう。エレクトロなキャンディポップチューン『ごめんね』だ。自分を支え続けてくれた人たちへ「ありがとう」と感謝の言葉を述べながら、現実の世界と別れを告げてゆく人がいる。新しい理想の中へと身を浸す前に、現実の世界で、自分に幸せを与えてくれた仲間たちと最後の享楽を分かち合うように、その人物は深夜のClubで、音楽を身体に打ちながら仲間たちと快楽に興じていた。
メモリアムの世界に身を預ける人たち。そこで何が起きようと、その道を選択したのは、自分自身。『自業自得』と言うなら、そう嘲笑えばいい。心地好く意識を酩酊してゆくエレクトロなダンスミュージックに乗せ、「逃げるが勝者」な意識に導かれ続け、功を成してきた姑息な堕落人たちへ向けた皮肉を、まおせりが歌にしてゆく。ダウトメンからすれば、それがどんな手法や手段であろうと、その工程や結果が何であれ、みずからの享楽を追い求め、快楽の世界へ身を浸し続ける人たちは、すべて自己中心的な快楽主義者。あとで、どんな絶望へ身を落とそうと、何を時間軸の上で呟こうが、すべては自業自得なのだから勝手にしてくれと彼らは強烈に皮肉っていた。
どんな道を選ぼうと、すべては己の『DNA』に刻まれた細胞が導いたもの。まおせりは、「それはわたしのせいじゃない」「気にすることはない」「すべては決まっている」と、何度も言葉を繰り返すように述べていた。「誰もそれには逆らえない」。なぜなら、それが自分を構築するDNAに刻まれた人生というデータだから。キラキラと輝きを放つエレクトロな音符のシャワーを浴びながら、人として逆らえず、抗えない運命を、まおせりとダウトメンは歌にしていた。メモリアムという新しい世界が生まれたのも。そこへ導かれるように足を踏み入れる人たちも、すべては、DNAに刻まれた文字を再生するようにと起こした行動だ。
マイクを手にしたK.INOJOが世の中の喧騒を煽りながら、慌てふためく大衆たちを嘲り笑うように「大変だ、大変だ」と、さらに世の中を喧伝していく。江戸の時代なら、小さな町の中で収まっていた騒動というウィルス(事件)も、今はインターネットという地球上に張りめぐらせたDNAを通し、世界中を簡単にパンデミックしてゆく。K.INOJOは『タイヘンタイヘン2022』を通し、2022年の時代背景を舞台に据えながら、人類がずっと抱え続けてきた愚かな事象を、「大変だ、大変だ」と煽り立て、騒動へ変えてゆく。彼が皮肉たっぷりの言葉を高速で垂れ流すたびに、慌てふためき、言葉の騒動の種を次々と飲み込んだ人たちが腹の底で種を芽吹かせ「大変だ、大変だ」と囃し立てる。そんな風に、昨年も、今年も、来年も、いつの時代も、人類は「大変だ、大変だ」と騒ぎながら、現実に身を置きながら生きてゆく。そうか、だから現実から逃亡したくなるのか…。
慌てふためく人類という愚か者たちへ向け、K.INOJOは『いつまでもおまえと俺はここにいる』とキザなセリフを口にしながら、自分に降りかかった事象から逃げようとする人たちを、現実という呪縛に縛りつける。
違法な手段で、メモリアムの世界へと侵入したまおせり。2人はターゲットを、この世界から開放しようと行動を始めるが、その存在が、メモリアムにバレてしまう。
ふたたび、舞台に姿を現したまおせりは、ボブ・ディランのカバー曲『時代は変わる』を歌いだした。すごくシンプルなところに答えはあるのに、それを人類は複雑に解釈し、さらに難解にしてゆく。そのために楽ではなく学を積んだ人たちが、難解さへさらに輪をかけ、シンプルな答えの対極に位置する答えを形作る。この文章も、そうだ。もっと簡単に言葉は導き出せる。それを屁理屈で複雑にしてゆく。だから人間は面倒で、低俗で、煩わしい。
マイクを手にしたまおせりが世の中の事象を皮肉るように言葉を並べ、この世界へ騒動を巻き起こす。数十秒の自己主張が世の中に大きな影響を与えてゆくのと同じように、まおせりは『Tik-Tak』を歌いながら、世界中へ数分間のアジテートをしてゆく。彼女たちが、ダウトメンが提示したメッセージの数々は、人々を幸せへと導く救いの思い??それとも、ただのフェイクニュース??判断するのは、そう、あなた自身だ。この空間も、もしかしたらメモリアムが生み出した、快楽へ導く世界なのかも知れない。ダウトメン自体が、もしやメモリアムのハンドラーであり、その使い魔がまおせりなのかも知れない。さぁ、チックタックと流れる時の中、己の答えを導きだせ。
もし危険を感じたのなら、『そのボタンは押さない方がいい』。いや、押して快楽を覚えられるなら、刺激を呼び起こすボタンを押せばいい。いくつもの事象を導くボタンを手にしたまおせりが、目の前にいる人たちに「さぁ、ボタンを押しちゃえよ」と甘い誘いをかける。「押しなよ」「押さないほうがいい」、異なる2つの誘いを示しながら、その判断はすべてあなた自身の心が下せと、2人は煩悩を刺激してゆく。人の細胞には、快楽に逃げたほうが楽というDNAが刻まれている。その細胞を書き換える理性を持てるのか、悦楽に負けてしまうのか。現実と夢(バーチャル)、二つの世界に繋がる扉が、今、目の前に立ちはだかった。
白い旗を振り回し歌うまおせりは、『間違うな』を通し、ジョン・レノンやマイルス・デイヴィスなど世の中に大きな影響を与えた英雄たちのクール?な生きざまを示しながら、クールな判断を下せと伝えてきた。でも、人は細胞に刻まれた『DNA』というプログラムから逃れることは出来ない。いや、本当にそうなのか?!どんな世界に逃避しようと、触れたボタンの選択次第で、自分の運命は大きく変えられる。メモリアムの導いた快楽の中、肉体は滅びようと、心だけは永遠に快楽の世界を生き長らえるのが理想的な生き方なのか。泥水をすすろうと、限られた時の中で生き方を模索するのが幸せなのか…。あなた自身の人生の中、その選択を間違うな。
アンコールでは、この日のOAを飾ったヴァイオリニストのミ子をゲストに迎え、ダウトメンfeat.ミ子としてYMOの『Rydeen』をカバー。ただし、ダウトメンがカバーするのだから、在り来りになるわけがない。おいおい、キングクリムゾンかと思わせるイントロから、悠久の音色を奏でる、巫女になったミ子のオリエンタルな演奏に触れながら、まだまだ美しかった頃のシルクロードの道をドローンに乗って眺めるように、その演奏は、妄想という心の羽根を自由に羽ばたかせてくれた。
さらにここへまおせりを加え、最後にみんなで『こんなはずじゃなかったのよ』を演奏。フロア中で熱狂する観客たち。この熱気が、また来年のライブ開催へと繋がった。ダウトメンのお二人、この展開は「こんなはずじゃなかった?」。それは、自業自得??いやいや、これも、みんなのDNAに刻まれたメモリーが導きだした答え。そのボタン、また間違えずに押させてもらうよ。また次回も、ここにある世界を僕らとダウトメンで共有し、ここにいながら一時の享楽へ溺れさせてくれ。次のライブが何時になるのか、今はまだわからない。でも、びゅんびゅん変わり続ける大変な時代の中をチクタク歩きながら来年を過ごしていれば、またこの楽しさを味わえる日を迎えられる。ごめんね、そんな妄想を雷電した頭の中で何時までもリプライズしていたよ。
※このライブで語られる物語と世界観は全て前沢雅彦(U.F.O.PICTURES)の著作物です。
PHOTO: K.SAKURAI
TEXT:長澤智典
★インフォメーション★
(アーカイブ)
■「Live Doubtmen vol.2(目黒ライブステーション)」配信チケット
¥2,000
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02m1x2z4y0q21.html
(SNS)
■まおせりofficial twitter
https://twitter.com/maoseri_PR
森下舞桜☆仮面女子 twitter
https://twitter.com/morishitamao
涼邑芹☆仮面女子 twitter
https://twitter.com/suzumura_seri_
(販売サイト)
■オーサリアム
https://autharium.jp/
(ダウトメンfeat.まおせり/オーサリアム販売ページ)
https://autharium.jp/ja/serie?serieId=6384813346b94900308fb105&page=1
(公式サイト)
■ダウトメン(Doubtmen) official website
https://doubtmen.com/
■仮面女子
セットリスト
■(2022.12.15 Setlist)
~O.A~
▽ミ子 (violin)
01. エンヴィーベイビー
02. ヒバナ
03. 千本桜 with Doubtmen
~本編~
▽ダウトメンfeat.まおせり
(OPENING Narration)
01. びゅんびゅん
02. ごめんね
03. 自業自得
04. DNA
05. タイヘンタイヘン2022
06. いつまでもおまえと俺はここにいる(short.ver)
(maoseri dialogue)
07. 時代は変わる
08. Tik-Tak
09. そのボタンは押さない方がいい
10. 間違うな~DNA(Reprise)
(ENDING Narration)
~アンコール~
enc1. Rydeen with ミ子
enc2. こんなはずじゃなかったのよ