Mika Suzuki インタビュー 

INTERVIEW

 劇伴音楽からアーティスト向け楽曲まで、さらには 結婚式の花嫁の手紙を歌にするレターソング チームを率いるなど、自身のセンスを生かした楽曲制作で幅広い活動を繰り広げるMika Suzuki。一方で現在は音楽制作にとどまらず自らジャケットデザインや執筆活動を行うなど、マルチクリエイター振りをいかんなく発揮しています。

 今回はMikaさんにインタビューを実施し、自身のセンスを磨いてきた経緯やその要因、今後目指していきたい方向への思いなどをうかがいました。

●作曲の基礎となったエレクトーンとの出会い

--現在マルチな活躍を展開されているMikaさんですが、まずこれまでどのように音楽について歩んできたか、その経歴を教えていただけますか。

Mika Suzuki(以下、Mika):高校卒業後に「ヤマハ音学院」という音楽教室でエレクトーンを学んでいたんですが、もっと作曲について勉強したいと思うようになり「ヤマハ音学院」卒業後はエレクトーン講師をしながら他の別のスクールに通って作曲の勉強をしたりしていました。だからもともとエレクトーンで勉強したことが自分の作曲の礎になっていると、思っています。

 それから作曲家としてお仕事をいただけるようになってくると、テレビ東京のアニメBGMや東急百貨店のCM音楽とか、昔からやりたいと思っていた仕事に恵まれるようになっていきました。20代後半くらいからは自分の中でも「あぁ、夢が叶ったな」とすごく嬉しく思います。

 そして今はCM音楽や歌モノなどの作曲で仕事をさせていただきながら、レターソング作家として結婚式の花嫁の手紙を歌と動画にするというサービスを始めて、たくさんのお客様に恵まれるようになってきています。

--レターソングとは、どんなものなのでしょうか?

Mika:結婚式のご両親への伝えたい思いをお手紙に書いていただいて、それを歌と動画にして結婚式場で流すものになります。結婚式での演出、例えば「手紙で読むとちょっと恥ずかしい」とか「手紙を読むと泣いてしまう」と式場で読み上げるのが難しいという新婦さんに向けて用意された演出の一つなんです。

 基本的には結婚式の場面で披露されるのは、新婦さんからご両親に伝えるメッセージというのが多いと思いますが、レターソングに関していえば新郎さんのメッセージも伝えられて、新郎新婦2人からのメッセージを音楽にしています。例えばワンコーラス目が女性ボーカル、2コーラス目が男性ボーカルみたいな感じで男女Wボーカルみたいな感じで作ることも結構あります。

 レターソングの仕事は『Tokyo Marry Letter』という屋号でやっていて、その仕事で作った楽曲はホームページで聴くこともできます。

--素敵な演出ですね。作詞はMikaさんが行われるのですか?

Mika:そうですね、私がやっています。作詞というと大事に聞こえるけど、手紙を「ちょっと整える」みたいな感じでやっています。

●楽曲の風景に、自分の持つセンスを込める

--他にも実際に歌モノ楽曲なんかの曲作りも行われているのでしょうか?

Mika:そうですね。最近は他にも歌モノの依頼とかもいただき、その仕事ではゼロから歌詞をして曲を作るまでの工程を行わせていただいてます。

 曲としては、例えばYouTubeで活躍されているVTuberさんのテーマソングみたいな感じのものとか。他にもアーティストとして活動されている人のオリジナルソングを作る仕事も行わせていただいたこともあります。

 クライアントもさまざまで、プロアマ問わず、自分の活動の範囲でちょっと歌が書けたら、歌を歌えたらという人に向けて書くということもあります。

 最近、映画音楽も書かせていただきました。『バトルクライ』という自主製作のアニメ作品なんですが、すごいカッコよくてめちゃめちゃ面白い作品で、これからどんどん話題になる作品だと思います。

--その映画ではどんな曲を書かれたのでしょうか?

Mika:やはりここでもピアノが多いです、ちょっぴり切ない感じのシーンで。やはり映画の監督の方が私のピアノ楽曲を結構高く評価していただいたので、ピアノの曲を主に書きました。

 またHolos Musicでもピアノソロの曲を書かせていただいています。ヒーリングピアノということで、ソルフェジオ周波数でチューニングしたピアノで録音しました。他にも癒し効果のある音楽は、Holos Music以外の仕事でも書かせていただくことはあるんです。

--Holos Musicのシリーズ「A Serene Life」Vol.10になりますね。Mikaさんはいつもどんな感じで曲を作られているのでしょうか?

Mika:すごく悩み抜いた挙げ句に絞り出して書くというよりは、なんとなく湧き上がってくるという感じです。曲に対しての風景みたいなものを思い浮かべて、それにこれまで自分が培ってきた感覚をメロディーに込めて作っています。ただ、今後の作り方は変わっていくことがあるかもしれません。

--Mikaさんの曲は、すごく繊細だけどカラフルな感じもありますね。音楽的なバックグラウンドとして影響を受けたアーティストなどもいるのでしょうか?

Mika:アーティストでいえば高木正勝さんや小瀬村晶さんなどの曲に影響を受けているかの知れません。
アンビエントとかポストクラシカル、エレクトロニカみたいなジャンルの音楽なんかからすごく影響を受けているとも思っています。

 昔、自分のピアノの曲をSoundCloudとかにアップしてるときに、海外のレーベルから「あなたの楽曲を海外に紹介させてください」と時々連絡をいただきました。

●いろんなことを一歩発展させていきたい。

--Mikaさんの曲はとってもリリカルだし、素敵な音楽だと思います。ジャケットも素敵で。

Mika:ありがとうございます。絵を描くときには時間を掛けてわぁーっ!と描いてみたり。まあすごく時間を掛ければめちゃくちゃ良いものができるかといえば、それはなかなか難しいところですが。

 ただ、絵の仕事も受けてみようと思ったこともありましたが、以前一度その仕事をしたときに「なんかちょっとイメージが違うから」と言われたこともあって…絵の方は全然技術的には低いので、まだまだです。

 でも絵を描くのも、ピアノの曲も基本的には同じで、自分のセンスを込めて作るというイメージで作っています。

--最後に、これからの予定と目標を教えてください。

Mika:そうですね今コロナ禍の影響もあって、ちょっとレターソングの受注は減っている感じですが、コロナ禍が終息する頃にはレターソングが法人化できたらいいな、とか。いろんなことを一歩発展させていきたいと思っています。

 同時に、これまでの自分自身の集大成のような曲を書きアルバムを出していきたい。またテレビの音楽の仕事も今後増やしていきたいし、いろんなところで自分の曲を聴いてもらえるように自分から行動していきたいと思っています。

 特に関わっていきたいのは、ドラマの音楽です。曲数がたくさん必要なボリュームのある仕事ができるようになりたい。今は娘がいたり、普段の生活の忙しさもあるのでちょっと難しいかもしれないけど、目標として必ず叶えていきたいと思っています。

●Mika Suzuki(鈴木美夏)
6月17日生まれ。
女性らしい感性で明るくセンスの良い音楽に定評があり、劇伴音楽からアーティスト向け楽曲までさまざまな作品を手掛けている。代表作は、テレビ東京アニメ「ねこざかな」「コケッコーさん」「きもしば」「アニマルバス」など。

また結婚式の花嫁の手紙を歌にするレターソング チーム「Tokyo Marry Letter」の代表を務める。楽曲制作の他に執筆業も行っている。

オフィシャルウェブサイト:https://mika-suzuki.amebaownd.com/
『Tokyo Marry Letter』:https://tokyo-marry-letter.com/tml-staff/

●インタビュアー 中脇雅裕 
音楽プロデューサー ワールドコア株式会社CEO
日本の音楽シーンにおいて、幅広いジャンルでのヒット曲に携わる。近年ではグローバルに活躍するアーティストとのプロジェクトも多い。

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