SARSHI インタヴュー。「あなたのためにライブを行います」。SARSHI(HERO)が立ち上げた「ONE on ONE~」企画とは。
「12月6日に恵比寿LIQUIDROOMを舞台にHEROが活動を再開」というニュースが世間を騒がせたのは、つい先日のこと。HEROのメンバーとして。並行し、ナナ/Flutter Echoのメンバーとしても精力的に活動しているSARSHI。中でもFlutter Echoはみずからヴォーカルも担うバンドのように、彼自身の音楽性を色濃く投影している。
ギタリストとして、時にはヴォーカル&ギターとして、自身の胸の内を旋律や歌声に乗せ届けているSARSHI。そんな彼の心には、とある想いが渦巻いていた。それが、「僕の音楽を求める人がいるなら、その人自身へ直接歌や演奏を届けたい」ということ。その意思のもと、立ち上げたのが「~ONE on ONE~」という企画だった。その趣旨についてSARSHIがインタヴューに答えてくれた。
「僕自身の気持ちを100%真っ直ぐに届けたい」想いのもと、「僕が君のためだけに歌を届けにいくよ」という企画「~ONE on ONE~」が生まれました。
――”君”だけのために「1対1」でライブを届けるのが、「~ONE on ONE~」と題した企画。なぜ、このような形で行おうとしたのか、そこから聞かせてください。
SARSHI バンドやアーティストがライブを企画する場合、「みんなの元へ逢いに行くよ」という想いを持ちながらも、どうしても「ライブをやるなら、逢いに来て」となってしまうことが往々にしてあること。もちろん、そうせざるを得ない理由もわかります。「逢いに行きたくても、(現実問題として)行けない」、そこへのジレンマを僕自身も胸の奥へずっと抱え続けてきました。
僕は今、Flutter Echo・ナナとして活動。12月6日からはHEROが復活し、そこへ加われば、他にもセッションなど、いわゆるバンド活動を通してファンたちと触れ合う機会を作っています。何事もそうですが、誰かと行動を共にすることで、どうしてもその規模に合わせ、出来ることと出来ないことが生まれてしまいます。だけど、それが”僕一人”だったらフットワークはものすごく軽くなれる。
――自分と相手の都合や条件さえ合えば、とても動きやすくなりますからね。
SARSHI そうなんです。加えて、僕自身が「他の人の血が混じらない、本当に100%の僕自身として想いを伝えたい」気持ちも持っていました。そこから、今回の「~ONE on ONE~」という企画が誕生したわけですけど。それも、一つのきっかけから発想が生まれました。
僕は、毎年3月4日に「さ〜しの日」と題した主催イベントを開催しています。今年は、そのイベントの中、僕自身が歌う形で『君へのラブソング』という楽曲を作り、みなさんの前で披露しました。そのライブを終えたときに感じたのが、”君” というたった一人へ向けての歌のように、「『君へのラブソング』はは大勢の人たちへではなく、僕を求めてくれる”君”というたった一人へ向けて歌いたいな」という想いでした。
そこから、「”ぼくときみ”だけの形で歌を届けたい」「僕一人だけなら、君となる相手の都合に合わせたライブだって開催できれば、僕自身の気持ちを濁すことなく100%真っ直ぐに届けていける」。その想いのもと、「僕が君のためだけに歌を届けにいくよ」という今回の「~ONE on ONE~」企画が生まれたわけなんです。
「ライブを観たい」気持ちを僕に求めてくれる。だったら僕自身が、その人のもとへ足を運ぶなり、用意した環境へその人を招き入れれば良いことですからね。
――「~ONE on ONE~」は、本当にSARSHIさんの「想いを届けたい」という純粋な気持ちから誕生した企画なんですね。
SARSHI そこには、もう一つ後押しした環境もありました。というのも、僕自身HEROとしての活動を中心に長年音楽活動を続けていると、ファンの人たちの中にも結婚をし、家庭を築き、子供がいるためにライブに足を運ぶのが難しいという人たちも出てきます。中には、親子連れでライブに来てくれる人たちもいるとはいえ、現実的に難しい人たちが多いのも事実です。他にも、病気(身体の疾患)などの事情や、心に悩みを抱えていることからライブハウスへ足を運ぶのが難しい人たちだっています。でも、みんな「ライブを観たい」という気持ちを僕に求めてくれる。だったら僕自身が、その人のもとへ足を運ぶなり、僕が用意した環境へその人を招き入れれば良いことですからね。
――「~ONE on ONE~」という企画のように基本は1対1ですけど、友だちと一緒に参加という形もありなのでしょうか?
SARSHI 僕個人の想いとしては「1対1」でやりたいんですけど。実際、「一人だと不安なので、友だちと二人でも良いですか」という声は届いています。なので、そこは臨機応変に対応していこうと思っています。この企画自体、新規ファンが申し込んでくれるのも嬉しいですけど。僕自身を好きでいてくれる人たちへ向けた企画のように、僕の性格を知っている人たちならしゃべりやすいキャラクターなのもわかっていること。最初は二人で来てもらい、親しみやすい環境に安心を覚えたら、次は、一人で申し込んでいただくでも構わないなと思っています。
もちろん主婦の方の場合、お子さんを連れては大歓迎です。ただし、アンプで音を鳴らし歌い演奏を行う以上、けっして子供の耳に良い環境ではないだけに、耳栓やヘッドホンをつけるなり、そこの対策はお願いします。今は「~ONE on ONE~」という形で僕の音楽を楽しみながら、子供が成長した暁には、それがHEROでもナナでも、Flutter Echoでも、全部でもいい(笑)。今度は親子でライブを楽しみに来てくれたら嬉しいですからね。
「~ONE on ONE~」企画は、僕自身が音楽を辞めない限りはズッと続けてゆくライフワーク。
――「~ONE on ONE~」では、具体的にどんなことをやっていただけるのでしょうか?
SARSHI 用意したスタジオへ招き入れ、目の前で『きみへのラブソング』を歌い演奏するのはもちんん。34分間というライブ時間の中、その人のリクエストに合わせ、Flutter Echoは僕がヴォーカルも取っていることから歌と演奏を。HEROとナナの楽曲に関しては、ギター演奏を届けます。とくにHEROやナナだと、ライブでは細かいギターの表情まで伝わりにくいぶん、そこをより鮮明に楽しんでもらえる機会にもなるなと思っています。もちろん、HERO・ナナ・Flutter Echoならどの楽曲でも対応します。目安としては、『きみへのラブソング』を含め大体7曲くらいは演奏出来るかな。
――中には、歌は『君へのラブソング』だけで良いから、あとはトークをしたいという方もいるのではないかと想像します。
SARSHI この企画は、あくまでも「僕のライブを届ける」企画のように、定めた中で話だけをすることはないです。ただし、ライブ後にチェキ撮影やチェキにサインをするように触れ合う時間もあります。僕も、そこでどんな人なのか話をしたいですからね。
――現状、「~ONE on ONE~」は都内のスタジオを舞台に行われます。たとえば、ライブが出来る環境さえ整っていれば場所も指定は出来るのでしょうか?
SARSHI もちろん、音響システムが整っていれば可能です。ただし、ギターアンプを鳴らすように、ある程度大きな音を鳴らせる環境でないとこの企画を披露するのは難しいのも事実。都内であれば、24時間何処でもスタジオを抑えることは可能ですけど、地域によってはスタジオが無かったりする可能性もありますからね。なので、今は「都内中心部のスタジオ」という環境から始めようと思います。そこで僕自身も「~ONE on ONE~」をより楽しくするための経験や知識を重ねながら少しずつ内容を改良していきたいと思っているし、「~ONE on ONE~」用の新曲だって増やしたい。もちろん、いずれは関東近郊や、いろんな地域で「~ONE on ONE~」をやりたいなとも思っています。僕自身は、「~ONE on ONE~」企画は、僕自身が音楽を辞めない限りはズッと続けてゆくライフワークだと思っているように、僕のスケジュールとみなさんの予算次第とはいえ、日本全国にまで足を広げられたらなという思いも持っています。
こういうやり方を行うことで、長く音楽活動を続ける術を得れることを知って欲しい。
――「~ONE on ONE~」用に新曲を増やしてくれるのは、嬉しいことです。
SARSHI 今年『君へのラブソング』を作って「さ〜しの日」に披露したときから、「毎年、1曲ずつSARSHIとして歌う新曲を増やそう」とは思っていたこと。でも、「~ONE on ONE~」の企画をやることを決めたから、もっと早いペースで新曲を書き下ろそうと実際に進めています。もちろん、どの楽曲も「一人に向けた歌」という内容で作ります。
――正式オープン前から、「~ONE on ONE~」の企画をネット上で発表していましたよね。リアクションもけっこう集まりました?
SARSHI 興味関心からの問い合わせや、実際に申し込みをしてくれる人たちは相応にいます。それが、先に触れた主婦の方や、身体や心の病でライブに足を運びづらい方。時間の都合でなかなかライブに行きづらい仕事の方々など。もちろん、いつもライブに来てくれている人たちからの反響もあります。嬉しかったのが、音楽業界の方々が「面白そうなことをやってるねぇ」といろいろ声をかけてくださること。発表する当初は、賛否両論出るだろうなと思ってたところ、賛同の声が多かったのは僕としても嬉しいことでした。
――ということは、否の声もあるってことですよね。
SARSHI いや、直接僕のもとへ届いてないので、正直”否”に関してはわからないですけど(笑)。でも、賛否あってもおかしくない企画だと思って始めたように、そこの意識は持っています。むしろ、僕自身がそうだったように、こういうやり方を行うことで、長く音楽活動を続ける術を得れることをバンドマンの方々に知って欲しいし、どんどん真似してもらいたい。
今でこそ僕もHERO・ナナ・Flutter Echo・セッションといろんな表だったバンド活動を行えば、ナナ・Flutter EchoのメンバーであるZeeFが経営しているアットチュードのスタッフの一人として、サウンドクリエイターとして音楽制作にも携わっています。だけど、HEROの活動が止まり、目の前から音楽に触れる環境が一切なくなったとき、ZeeFに誘われなかったら、僕自身、将来に対して目の前が真っ暗になっていたと思います。
事実、これまで接してきた人たちの中にも、バンドが無くなり、新たな音楽活動の道を閉ざしてしまった人たちもいます。だけど「~ONE on ONE~」企画のように、応援してくれる人たちのもとへ音楽を届けられる環境があるのなら、少なからず音楽を続けていける。そのための試金石となる活動に「~ONE on ONE~」がなっていけたらなとも思っています。
――現状「都内のスタジオで24時間対応」とのことでしたが、そこは遠慮なく申し込んでも良いということですよね。
SARSHI それが夜中だろうが、明け方だろうと対応する気持ちではいます。ただし、バンドとしてのライブ活動がある日以外にしています。そこは、バンドのライブへ想いを集中したいですからね。サウンドクリエイターの仕事に関しては、ある程度融通は効かせられるので、そこは依頼者の都合に極力合わせようと思っていますけど、「常識ある範囲で」とだけは伝えておきます。さすがに朝7時からライブと言われても、声が出るかわかりませんから (笑)。
依頼者の誕生日に合わせて”君だけのためのライブ”が出来たら、その人にとっても忘れられない記念日になるだろうし。それを、誰かのプレゼントにしてもらっても良いなと思ってる。
――SARSHIさん自身、「~ONE on ONE~」を始めることでますます忙しくなるんじゃないですか?
SARSHI それ、よく言われるんですけど。むしろ、僕は忙しくしていたいんです。変に時間を持て余してダラダラしているよりも、追い込まれるほうが気持ちも感性も活性化してゆくこと。HEROをやっているときから、並行してFlutter Echoとしても活動をしていたけど。それだって、どっちかが片手間ではなく、両方へ100%の力を注ぎながらやってきたこと。中には、引き受けたは良いけど、内容が濃くてエグすぎたこともありましたけど(笑)。それも含め、100%の力を注いできたことだし、そうやって自分を磨いていきたい。自分で時間の使い方さえ間違えなければどれも全力で想いを注げるからこそ、「~ONE on ONE~」企画も、HEROやナナ、Flutter Echo、セッション、サウンドクエイターとしてのどれにも意思を示した活動をし続けていきますから。
だから今回の「~ONE on ONE~」に関しても、興味を持ったら遠慮なく申し込んで欲しい。それこそ、依頼者の誕生日に合わせて”君だけのためのライブ”が出来たら、その人にとっても忘れられない記念日になるだろうし。僕のライブを、誰かのプレゼントにしてもらっても良いなと思ってる。もちろん、同じ人が何度も申し込むなら、そのたびに内容も変えてやっていきます。やるなら、その人が絶対に満足するライブをお届します。なので、まずは気軽に問い合わせてみてください。
TEXT:長澤智典
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『スケジュール』
【HERO】
12月6日(金)恵比寿リキッドルーム(復活ワンマン)
【Flutter Echo】
6月9日(日)大阪アメ村CLAPPER
6月16日(日)名古屋今池GROW
8月1日(木)渋谷DESEO(主催)
【サポートスケジュール】
6月21日(金)渋谷REX(iceソロ)
7月12~14日 オクラホマ州タルサ(iceソロ)
ファンレターの宛先
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