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「God of Grind」が流れたとたん、TSUTAYA O-EASTは20数年前の目黒鹿鳴館のライブのような様に変わっていた。初期衝動の満載した、PENICILLINのツアーファイナル公演をレポート!!! 

LIVE REPORT

ミニアルバム「九龍頭 -KOWLOON HEAD-」を手に11月よりスタートした、PENICILLINの全国ツアー『PENICILLIN TOUR2019「九龍頭 -KOWLOON HEAD-」』。ヴォーカルHAKUEIの生誕祭も兼ねた同ツアーのファイナル公演『HAKUEI BIRTHDAY LIVE 「SUPER HEART CORE’19」』が、12月15日(日)にTSUTAYA O-EASTで行なわれた。

 今回のツアーのセットリストの中心を担っていたのが、最新ミニアルバム「九龍頭 -KOWLOON HEAD-」へ収録した楽曲たち。同ツアーでは、収録した6曲すべてを披露。そのうえで彼らは、構成の中へ「花」や「ヒーロー」というテーマを掲げれば、「初期衝動」を呼び起こす曲たちを随所に配置していたのも、大きな特色として見えていたことだった。
 今宵のライブは、最新作の中でもとくに重厚さを抱いた「Too young to die!」から幕を開けた。重い剛速球を次々と投げ込むように雄々しく歌うHAKUEIに、音をぶつけるメンバーたち。彼らの叫びをつかもうと、フロアから無数の手が3人へ伸びていた。千聖のギターソロタイムを挟みながらギターが激しくリフを刻むのを合図に飛びだしたのが、「Desire」。モニターに足をかけ、身体を前のめりに煽るHAKUEI。フロアからは「Desire」と欲望の赴くままに歌う声が響く。欲望を吐きだすように「人間を辞めよう」とHAKUEIが荒々しく歌いだす。この空間に足を踏み入れた以上、理性などは必要ない。互いに沸きだす熱情をぶつけあい、共に「人間失格」してしまえ。それが、ここでの正解だ!!!
流れだしたのが,光へ向かって気持ちを一気に解き放つ「JUMP#1」だ。フロア中の人たちが、メンバーらと一緒に「XYX XYX」と叫びながら手文字を作れば、両手を高く掲げ、舞台へ想いを捧げてゆく。胸をワクワクさせる情熱的な歌や演奏が閉じていた心の翼を広げ、想いを空へ羽ばたかせる。熱した歌の風を感じたなら、その勢いへ飛び乗り、自由に気持ちの羽根を広げて飛べばいい。それが何にも変えがたい快楽だ。

「明日、僕の誕生日なんですよね」と呟くHAKUEIの言葉を受け、フロア中から飛び交う「おめでとう!!!」の声・声・声。 闇をつんざくようにエッジ鋭いギターの音が轟くのを合図に、楽曲は「砂漠のバシリスク」へ。激しさと艶めき二つの魅力を届けながら、PENICILLINはフロア中の人たちの心を広大な砂漠の地へ連れだした。その歌声は、砂漠に咲く、血の色にも似た真っ赤な薔薇を共に探そうと誘いをかけていた。真紅の薔薇を求めた旅人たちが迷い込んだのは、桃源郷のような壮麗で耽美な世界。PENICILLINは「花園キネマ」を介し、満員の観客たちへ儚い恋物語を伝えだす。
哀切なHAKUEIの歌声が、フロア中へ切々とした歌の滴を零してゆく。彼の嘆く心模様へ、痛い刺激と衝撃を与えるように激烈な音を重ねる演奏陣。「切り落とされた翼」を通しPENICILLINが示したのは、心の慟哭。悲嘆に暮れた心へ光を射すように、PENICILLINは「orb」を演奏。心沸き立つ楽曲に刺激を受けたフロア中の人たちが、表情を笑顔に変え大きく両手を伸ばし、彼らへ想いを捧げだした。HAKUEIと観客たちが共に歌った「はるか」の声を合図に、一気に天へ向かって駆け出す演奏、熱い光と熱狂をもっともっとこの身へ振り注いでくれ!!!

千聖とO-JIROによるトークコーナーでは、O-JIROがHAKUEIの誕生日を祝おうと「今日はごきげんHAKUEIを見せるように仕向ける」話をすれば、千聖の、HAKUEIに対する「歳とっても恰好いいじゃなくて、永久に恰好いい」の言葉も嬉しい想いのプレゼントに見えていた。

次のブロックでは、PENICILLIN流のヒーローナンバーの数々を披露。この地へ一つの伝説を刻むように、PENICILLINは「そして伝説へ」を演奏。楽曲が進むごとに熱とテンションが上がりだす。ゴキゲンなロックンロールナンバーに乗せ軽快に歌い演奏するメンバーたちへ向かい、フロアでも数多くの手が大きく揺らめいていた。軽快に跳ねたロックンロールなセッション演奏を受け、楽しさを連れだすように「UFO 対 ラオウ」へ。手を打ち鳴らすHAKUEIに合わせ、一緒に手拍子に興じる観客たち。HAKUEI自身も肩の力を抜き、心騒がせるシャッフルナンバーへ身を預け気持ちをスウィングさせていた。勢いをさらに加速させるように飛び出したのが、「ウルトライダー」。3曲立て続けにロックンロールナンバーを演奏。気持ちを滾らす歌へ触れた会場中の人たちが、心を熱く燃やし、伸ばした手の先から熱情した想いを迸らせていた。終盤に起きたHAKUEIと観客たちとの歌のやり取り。この一体化した高揚へ、今は嬉しく溺れていたい。共に歌う声を途切れぬ想いに変え、ずっと繋ぎあっていたい。

楽曲が速度を増すと同時に、演奏は「Blood Red Snow White」へ。モニターに足を乗せ、前のめりの姿で観客たちを雄々しく煽るHAKUEI。溜め込んでいたパワーをすべてぶつける勢いで暴れ倒す観客たち。間奏では、HAKUEIの煽りへ触発され、フロア中から「オイ!オイ!!」熱い声が飛び交っていた。轟音が唸るたびに膨らむ熱。その熱狂へ感情的なドラマを描くように、PENICILLINは「The pain song of the beast」を演奏。楽曲自体は攻める激しさを持っている。その上で響く歌が艶めいているように、その歌声は触れた人の心をときめかせる。「快感∞フィクション」が観客たちの理性を消し去り、熱狂や恍惚を貪る野獣へ変えてゆく。鋭い音の刃を剥き出しに満員の観客たちを挑発するメンバーたち。その熱い誘いへ向け、力強く腕を伸ばす観客たち。さぁ、もっともっと熱狂を貪り喰らえ。そのエナジーを高め、一気に快感の先にある絶頂を求めあえ。高い熱を抱いたまま、演奏はラストナンバー「SEX」へ。沸きだす衝動のままに荒ぶる歌声や演奏で観客たちを殴り倒すメンバーたち。フロア中からも、HAKUEIの叫びに合わせ「SEX SEX」と声が飛び交う。己の本性を相棒に騒ぎ尽くせ、それこそが人の持つ本心。剥きだした裸の姿をさらけだすライブを、今宵のPENICILLINは示していた。

アンコールの最初に、バラードナンバー「少年の翼」を歌唱。楽曲に込めた愛しい人への想いが、無垢な少年の心へ戻してゆく。あの頃の気持ちを思い返しては、今の自分の姿へ鏡のように映しだす。HAKUEIは、温かさを秘めながらも哀切な歌声を響かせていた。その声が何時しか胸を揺さぶり、瞼を嬉しく滲ませていた。

ここからは、HAKUEIのバースデーセレモニーのコーナーへ。大きなバースデーケーキに灯した蝋燭の火を吹き消して、HAKUEIの誕生日をお祝い。「ここに来た人たちはみんなPENICILLINという音楽サークルの一員だという自覚を持ってください」とHAKUEIが挨拶。千聖は、「俺は自分が恰好いいと思って生きてる。その俺が横で弾きたい唯一のヴォーカルがHAKUEI」と素敵な言葉を述べていた。O-JIROは、「うちの顔ですからね。HAKUEI氏はバンドのアクセルだからこそ、PENICILLINを背負って爆進し続けてもらいたい」と発言していた。

 ここでHAKUEIがバースデー企画として、みずからへ衝撃を与えたGASTUNKの楽曲をカバー。じつは、PENICILLINとして名乗り活動を始める前の時期にバンドでカバー演奏もしていた、PENICILLINのルーツに当たるバンドの一つ。この日は、メンバーらがまだ大学生だった頃にカバーしていた「DEVIL」と「Night Sight Light」を披露。ワイルドで雄々しい楽曲たちを叩きつけ、メンバー自身も当時の気持ちを思い返すように熱唱しながら演奏を楽しんでいた。
そのままライブは「ロマンス」へ。楽曲が始まると同時に、無数の手がステージ上へ伸びれば、会場中の人たちがHAKUEIと歌を掛け合いだす。メンバーも、ここに足を運んだ誰もが、「ロマンス」を通し互いを熱烈に求めあっていた。誰もが声にならないときめきを感じては、サビを一緒に歌いながら、貪るように熱狂を交わしていた。

 観客たちの熱烈な声に応えるよう、メンバーはふたたびステージへ。「暴れようぜ!!」のHAKUEIの言葉を合図に、PENICILLINは、自分たちが初期衝動を持って生み出した「For Beautiful Mad Human Life」を演奏。煽るように。いや、暴走した音の塊を次々とフロアへ投げ込むように、PENICILLINは荒ぶる演奏をぶち噛ます。滾る熱情をぶつけるように身を預け、頭を振り乱し暴れる観客たち。理性を忘れ、ただただ熱狂の虜になり騒ぎ続けていた。最後の最後にPENICILLINは、「God of Grind」を演奏。HAKUEIは、今にもステージから落ちそうなくらいに前のめりの姿で観客たちを煽っていた。そこには、彼らがインディーズの頃に目黒鹿鳴館でワンマンを行っていた頃と同じ匂いや熱狂が渦巻いていた。初期衝動どころではない、初期PENICILLINの姿を、彼らはみずからの衝動をタイムスリップさせ現代へ甦らせていた。PENICILLINがこのツアーで求め続けた初期衝動。その答えを、彼らは最後の最後に知らしめ、会場にいる誰もの心を、共に青春を謳歌していたあの頃の自分に揺り戻し、騒ぎ狂わせて逝った。
     
ここで、PENICILLINの最新情報をお伝えしたい。2月8日と9日に新宿ReNYで、15日と16日には梅田Shangri-Laを舞台にPENICILLINは28周年ライブを開催する。さらに「PENICILLIN LIVE 2020」と題し、4月に新宿のライブハウス3ヶ所を巡るサーキットライブを発表。会場は、新宿ロフト・新宿BLAZE・新宿ReNY。こちらの企画がどんな形で行なわれるのかも楽しみだ。

PHOTO:コザイ リサ
TEXT:長澤智典

★インフォメーション★
●Mini Album「九龍頭 -KOWLOON HEAD」絶賛発売中!!

●PENICILLIN LIVE 2020「PENICILLIN 28th ANNIVERSARY HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL」
2020/2/8(土)&9(日)新宿ReNY
2020/2/15(土)&16(日)梅田Shangri-La
12/22(日)一般チケット発売開始

●PENICILLIN LIVE 2020「新宿サーキット(仮)」
2020/4/5(日)新宿LOFT
2020/4/24(金)新宿BLAZE
2020/4/26(日)新宿ReNY

●テレビ東京系「大正製薬 presents MelodiX!スペシャル 2019」
放送日時: 12月28日(土) 23時25分~24時55分
番販予定局: テレビ東京、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送、びわ湖放送、テレビ和歌山(変更になる可能性あり)
【公式 HP】http://www.tv-tokyo.co.jp/melodix_premium/nenmatsu2019/

―セットリスト―
「九龍頭」
「Too young to die!」
「Desire」
「人間失格」
「JUMP#1」
「砂漠のバシリスク」
「花園キネマ」
「切り落とされた翼」
「orb」
「そして伝説へ」
「UFO 対 ラオウ」
「ウルトライダー」
「Blood Red Snow White」
「The pain song of the beast」
「快感∞フィクション」
「SEX」
-ENCORE-
「少年の翼」
HAKUEIバースデーセレモニー
「DEVIL」(GASTUNK cover)
「Night Sight Light」(GASTUNK cover)
「ロマンス」
-W ENCORE-
「For Beautiful Mad Human Life」
「God Of Grind」

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